ペットが亡くなったあとの手続き

ペット霊園・ペット葬祭業は法律でどう決まっている? 条例と選ぶ確認点

内容の確認日: 2026年11月5日

ペット霊園やペット葬儀、ペット火葬の事業者を、全国一律で登録や許可の対象にする法律は、確かめた範囲では見つかりませんでした。動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)の「動物取扱業」に、葬祭や火葬は入っていません。

代わりに、広島市や京都市のように、条例や要綱で設置を許可制にしたり、届出を求めたりしている自治体があります。霊園や業者を選ぶときは、所在地の自治体にルールがあるかと、事業者が手続きを済ませているかを確かめます。この記事は一般的な情報で、個別の判断は所在地の市区町村の担当窓口や、都道府県の動物愛護の担当部署などにお願いします。内容は2026年11月5日に確認しました。

動物取扱業の区分とペット葬祭

動物愛護管理法10条は、動物の取扱業として、販売(取次ぎと代理を含む)、保管、貸出し、訓練、展示、そのほか政令で定める取扱いを挙げています。対象の動物は哺乳類、鳥類、爬虫類です。営む人は、事業所の所在地を管轄する都道府県知事(指定都市は市長)の登録を受けます。

鹿児島市役所の庁舎
写真: Suicasmo / CC0(Wikimedia Commons)

政令(動物の愛護及び管理に関する法律施行令1条)が加えているのは2つです。会場を設けて競りで売買をあっせんすること。動物を譲り受けて飼養することです。ただし後者は、譲り渡した者が飼養の費用の全部か一部を負担する場合に限ります。環境省は、種別を次のように示しています。

表は左右に動かして読めます。

種別内容例
販売小売・卸売と、そのための繁殖や輸出入小売業者、卸売業者
保管顧客の動物を預かるペットホテル、ペットシッター
貸出し撮影や繁殖などの目的で貸し出すペットレンタル業者
訓練顧客の動物を預かって訓練する訓練・調教業者
展示動物を見せる。ふれあいを含む動物園、水族館
競りあっせん業会場を設けて競りで売買をあっせんする動物オークション
譲受飼養業有償で動物を譲り受けて飼養する老犬老猫ホーム

この一覧に、動物の死体の火葬や葬儀、埋葬はありません。無登録で第一種動物取扱業を営むと、100万円以下の罰金の規定があります(46条1号)。登録は5年ごとの更新が必要です(13条)。

環境省の過去の検討資料には、「動物の死体火葬・埋葬業者」を業種に追加するかどうかの論点が載っています。業界の意見として、動物取扱業(登録制)に追加するなどの法的な規制を望む声も書かれています。資料に日付の記載は見つけられませんでした。現在の条文と政令には、追加が入っていないことを確かめました。

同じ事業者が、ペットホテル(保管)や老犬老猫ホーム(譲受飼養)を一緒に営んでいる場合は、その部分に登録が必要です。火葬や葬祭の登録があるわけではありません。

人の火葬場・墓地との違い

人の場合は、墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)があります。環境省の検討資料によると、火葬場・墓地・納骨堂の経営には、同法10条により都道府県知事等の許可が必要です。火葬や埋葬を行うには、同法5条により市町村長の許可が必要です。一方で、葬儀・葬祭の執行そのものに、国や自治体の許認可は要らないとされています。

寺の墓所にある小さな石の祠
写真: MirokunomichiProject / CC0(Wikimedia Commons)

ペットには、この墓埋法に当たる法律が、確かめた範囲で見つかっていません。同じ資料は、ペットの死体の処理として、飼い主が自分で処理する方法、自治体に焼却を頼む方法、民間の事業者や寺院に頼む方法の3つを挙げています。3つめの事例として、埼玉県飯能市で、預かったペットの死体が火葬されずに不法投棄された事件にも触れています。

自治体の条例・要綱の例

国の法律が見当たらない分を、自治体が補っている例があります。確かめた4つを並べます。

広島市安芸区役所の庁舎
写真: Taisyo / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

表は左右に動かして読めます。

自治体決まりの形主な内容
広島市条例(令和7年広島市条例第36号。令和7年10月1日施行)墓地・納骨堂・火葬施設(火葬設備のある車両で一定の場所で繰り返し火葬するものを含む)の設置に市長の許可が必要。申請の30日前までに標識を設置。近隣関係者への説明会。許可の手数料は47,000円。立入検査。違反には5万円以下の過料
京都市条例(平成27年7月1日施行)墓地・納骨堂・葬祭場・火葬施設(火葬車を含む)の設置に市長の許可が必要。住居系の地域では原則建てられない。申請前に事前協議、標識の設置、説明会が要る。利用者を守る行為基準がある。霊園でペットの死体を土中に葬ることは禁止
行田市条例墓地・納骨堂・火葬場のいずれかを持つ施設の設置に許可が必要。住宅などから100m以上(焼却炉は150m以上)離す。近隣住民への説明会が要る
神戸市要綱(令和8年9月1日施行)固定の火葬炉か、火葬設備のある車両で火葬を業とする事業者が対象。市は届出への協力をお願いしている。固定施設は近隣住民への周知(2026年9月1日より前から営業の事業者は不要)と届出、車両は市内で営業するなら届出

広島市の条例は、「ペット霊園」の定義から、専ら自己の使用に供するものを除いています。また、墓埋法上の墓地などと一体で管理される施設は、適用除外です。行田市の条例も、人用の墳墓や納骨堂にペットの焼骨を納める施設を適用除外にしています。

神戸市は、令和8年9月1日施行の要綱で、事業者の責務を定めています。遺体を見えないようにすること、液体やにおいを漏らさないこと、害虫を防ぐこと、苦情に速やかに対応することです。これは、平成14年に始まった「ペット動物火葬施設設置に関する指導要綱」に代わるものです。許可制ではなく、市が届出への協力をお願いする形で、市が示す形も条例ではなく要綱です。

確かめたのはこの4自治体だけです。ほかの自治体に同じ決まりがあるとは限りませんし、ない自治体もあります。許可制の自治体と届出を求める自治体が混ざっている点が、全国一律の法律がない現状をよく表しています。

廃棄物処理法との関係

廃棄物処理法2条1項は、廃棄物の例に「動物の死体」を挙げています。自治体が動物の死体を清掃工場で焼却する例があるのは、この枠組みと関係すると考えられます。

大阪市の舞洲工場(ごみ処理施設)
写真: ignis / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

ただし、民間の動物霊園が扱う死体は別に整理されています。環境省のサイトに載る、昭和52年8月3日付けの旧厚生省の回答(環計第78号)は、動物霊園事業で取り扱う動物の死体は、廃棄物処理法2条1項の廃棄物に該当しない、と答えています。兵庫県を通じた宝塚市の照会に対する回答です。回答文に理由は書かれていません。

自治体が引き取る場合の料金や遺骨の扱いは猫・うさぎ・小鳥が死んだときの手続きに例をまとめています。

霊園・火葬業者を選ぶときの確認

全国一律の登録や許可がないので、確認は選ぶ側で行います。次の順に聞くと整理しやすくなります。

スペイン・マラガのペット霊園にある噴水
写真: Daniel Capilla / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
  • 所在地の自治体に、ペット霊園や火葬の条例・要綱があるか。市区町村の環境衛生や生活衛生、動物愛護の担当部署に聞きます。
  • 条例や要綱がある場合、その事業者が許可や届出を済ませているか。設置の際に標識を掲げる自治体があります。
  • 火葬車で自宅に来る事業者の場合、車両が対象の自治体がある点。広島市、京都市、神戸市の例で、火葬車が対象に入っています。
  • 預かりや老犬老猫ホームなどを兼ねているなら、動物取扱業の登録があるか。都道府県や指定都市で確かめられます。
  • 個別か合同か、立会いができるか、遺骨が返るか、追加料金が出る条件は何かを、契約の前に書面や画面で確かめます。

最後の点は、法令が求める項目ではなく、選ぶ側の確認事項です。遺骨の扱いはペットの遺骨はどうするで説明しています。

出典

いずれも2026年11月5日に確認しました。条例や要綱は改正されることがあります。実際の手続きや最新の内容は、各自治体の担当窓口で確認してください。環境省の検討資料は日付を確かめられなかった過去の資料で、現在の制度を示すものではありません。

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